ドル/円相場は、2月25日の90.88円をボトムに93円台中盤まで切り返す展開になっている。先週前半はイタリア選挙を受けての欧州債務リスクの蒸し返しに対する警戒感から、安全資産としての円需要が急速に膨らんだ。しかし、その後は改めてドル買い・円売り圧力が強くなっており、直近高値94.77円(2月25日)まで1円を切る値幅まで再び地合を引き締めている。
米歳出強制削減問題については、回避期限となる1日中の合意形成に失敗しており、2日から歳出削減が本格化することになる。国際通貨基金(IMF)などは、実際の歳出削減が始まれば米国と世界経済の成長見通しを下方修正せざるを得ないと強い警戒感を示しているが、現在のドル/円相場は特に目立った反応を示していない。昨年12月は「米財政の崖」を巡る動きがリスク回避の動きを促したが、足元では各種経済指標などから実体経済に対する信認が強く、リスクオンの地合が維持されている。このまま、暫定予算が期限切れを迎える3月末に近づけば再びリスク回避の円高圧力が強まる可能性は残るが、目先は米財政協議が円高圧力になるリスクは限定されている。
一方、円サイドでは7日に日本銀行金融政策決定会合が控えているが、特に材料視されないだろう。白川総裁の下での最後の会合になるが、政策変更などが行われる可能性は殆どないだけに、マーケットの関心は低い。本日は黒田日銀総裁候補の所信聴取が行われているが、本稿執筆時点では「やれることは何でもやる姿勢を明確に打ち出す」として、マーケットの期待感を大きく裏切ることはなさそうだ。円相場が急落するようなステージは終わっているが、緩やかなドル高・円安傾向を支持する環境と言える。
今後1週間の予想レンジは、93.00~95.25円。